【ありえない話】エジプトでアパートの管理人が「おまえのテレビを修理する」と言って持ち帰った訳

海外生活ならではの、日本ではあり得ない話を聞かせてほしいとのリクエストをいただいたのでひとつ。

エジプト人の性格はよく言えば大らか。悪く言えば適当だ。

エジプト留学時代、私はホームステイではなく、家族向けのアパートメント(日本ではマンションの部類に入るかも知れない)を借りて住んでいた。
これはあそのアパートメントでの話。

ちなみにエジプトの賃貸住宅はほぼ家族向けとなる。 

エジプトの家は家具が一式付いているものが珍しくない。日本でいうレオパレス21の様なものだが、私が借りたアパートメントも、生活に必要なものは一通り揃っていた。
治安の問題もあり、そこそこの高級住宅街にあるそこそこの高級マンション。生活水準があまりに違いすぎる為、外装・内装共に日本の建物とは比べものにはならないが、一応家電も一式揃っていた。
5階建てのアパートメントの2階に、アリーという管理人一家が住んでいた。基本良い奴なんだが、エジプト人らしい、適当さはしっかりと兼ね備えていた。
以前別の記事で書いたが、アパートメントのエレベーターが故障しており、私が「いつ直るのか?」と聞く度に、「ボクラ!インシャッラー!(明日!神が望むならね!)と4ヶ月間私を騙し続けたのは、何を隠そうこのアリーだ。

詳細はこちらのブログから↓

ある日アリーとその息子が私の部屋にやって来て、何やらテレビを調べている。
あれこれいじりまわしていたが、
人物
アリー
ダメだこりゃ

そう言うなり、おもむろにコード類を外し始めた。

訳が分からず慌てる私に、

人物
アリー
こいつはいかん。最近テレビの映りが悪いだろ?完全に壊れてる。すぐに修理しないと手遅れになる!
そう言い残してテレビを担いで、持って行ってしまった。
今時骨董屋でしかお目にかかれない、テレビ本体にチャンネルを変えるつまみが付いている、ブラウン管テレビ。壊れていると言われれば壊れているし、こんなものだと言われれば、こんなものだ。

【ありえない話】エジプトでアパートの管理人が「おまえのテレビを修理する」と言って持ち帰った訳

10年前のエジプトと言えば、イスラム国全体に向けたお堅い番組と、エジプト国内向けの娯楽チャンネルの、わずかふたチャンネルしか映らない。
しかも、いくら2年間日本の大学でアラビア語を勉強したから行ったと言っても、たかが知れている。当然留学初期は語学力も低い。別にあってもなくても、それ程困りはしない。
まぁ、新興国の人間は皆そうだが、この国の人間もご多分にもれず、兎に角何でも自分達で直してしまう。その彼らが直してくれると言うんだから、お言葉に甘えておこう。
数日後、テレビが直ってきた。
早速電源を入れてみたが、ちっとも違いが分からない。
まぁ、この国の人間は兎に角、何でも自分達で直してしまう。その彼らが直ったと言っているのだから、直ったのだろう。

1ヶ月ほどして、またアリーがやって来て、テレビが壊れたと言って、修理しに持ち帰った。

数日後に戻って来たテレビは、明らかに前より映りが悪くなっていた。エジプトのアンテナはそれ程良いものではない。テレビを動かし、配線をやり直したことで、アンテナの感度が悪くなったのかも知れない。
まぁ、この国の人間達は兎に角何でも自分達で直してしまう。彼らが直ったと言っているのだから、恐らく私の目がおかしくなったのだろう。
そんなことがちょくちょく続いていたある日・・・
私もエジプトでの生活に慣れ、ある程度その国の文化を楽しめる様になっていた。
エジプトでは兎に角サッカー熱が高い。
その日はエジプトの国際試合が行われる日だった。大学の友人(エジプト人)から、絶対に見る様にと言われ、まっすぐ家に帰宅した。
もう試合は始まっていた。
慌ててテレビを付けようとして、ある事に気が付いた。
テレビが無い。
アリーがテレビを修理しに、持っていってしまっていたのだ。
私は慌てて2階のアリーの部屋へと向かった。

すると・・・

部屋から何やら大勢の人間の気配がする。

「うぉー!行けー!」

男たちの歓声の向こうから、テレビのサッカー中継が聞こえてくる。

【ありえない話】エジプトでアパートの管理人が「おまえのテレビを修理する」と言って持ち帰った訳

今は分からないが、当時はまだまだこの国の一般的な家庭にはテレビが無い時代。当然一介の管理人であるアリーがテレビなど持っているはずが無い。

おかしい!

記憶をたどっていくと、アリーがテレビを持っていくのは、決まってサッカーのエジプト代表戦や、国内リーグの大事な試合の前日。
私はエジプトのサッカーなど、全く興味が無かったので、気にも止めなかったが・・・

おい、アリー、てめぇ。。。

さては修理するとか言って、俺ん家のテレビ持ちだしては、毎度毎度仲間とサッカー観戦してやがったな!

「今日は庄屋さん家に集まって、みんなでテレビ観戦だー!」

って、昭和初期の日本のお茶の間か!?

50過ぎたおっさんが、くだらん嘘付いてんじゃねー!

開け放たれたドアの向こうに、鬼の形相の私を見つけたアリー。

開口一番、

人物
アリー
おおっ!色即是食ぅさん、ちょうどテレビが直ったんで、今から部屋に持って行こうと・・・

嘘こいてんじゃねー!

一瞬テレビの角で殴りつけてやろうかと思いましたよ。

まぁここは適当王国エジプト。日本とは違う。怒るだけ無駄というものだが。
お詫びにジュースとお菓子を買って来たアリーの、安い買収の手に早々に乗せられ、結局彼らと一緒に最後まで観戦させられる羽目に・・・

まったく、エジプト人って奴は・・・

余談だか、元来楽天家で底抜けに明るいエジプト人は多少のことではへこたれない。
その後も相変わらず、やれテレビが壊れた、やれこの食器はメンテナンスが必要だ、やれこの調味料は毒抜きが必要だのと、毎回何だかんだともっともらしい理由を付けては、私の部屋から実に様々な物を借りていってくれた。

まぁ、この国の人間は兎に角何でも自分達で直してしまう。彼らが不具合があると言っているのだから、その通りなのだろう笑

って、真面目に

調味料くらい、自分で買えやー!!!

俺はお前に塩胡椒を貸す為に、ここに住んでる訳じゃねえんだよ!

そう言えば「悪いモノが溜まっている!」とかいう理由で洗濯機を持っていったこともあったっけ。

後で長男を拉致って吐かせたところ、地方から遊びに来た友人に、自慢したかっただけらしいけど・・・

まぁ流石に「災いが降りかかるから暫く預かる」という理由で、使用していないベッドを分解して運び出そうとした時には、後ろから飛び膝蹴りを入れてやったが・・・

おおよそ誰か地方の親戚でも泊まりに来る予定だったのだろう。エジプトは室内でも土足の文化だ。ベッドが無くては寝れないからね笑

って、そんなこと俺が知るかー!

何れにせよ日本人には俄かには信じられない事態だが、エジプトでは富める者が貧しい者に、様々な形で手を差し伸べるのは義務とされる社会だ。

その辺りの詳しいことはこちらから↓

「金持ちの日本人の世話になって何が悪い?」という彼らの主張も、イスラムという文化圏の中ならば一理ある。
『郷に入っては郷に従え』と言う訳だが、今となっては良い思い出だ。

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