【サルでも分かるイスラム入門】悪名高きアラブのIBM(インシャアッラー/ボクラ/マーレイシュ)

寛容性が生んだアラブのIBM

エジプト人は総じて約束や時間にルーズな民族だ。

とある著書で一躍有名になった「アラブのIBM」。
アラブ人がいかにいい加減かを端的に表した語であるが、本当にそうだろうか?
私なりに解説してみたいと思う。

インシャアッラー(I)

「神が望むならば」という意味のアラビア語。
約束の後に必ず付ける。
もし、約束が果たされなかったとしても、それは神が望まなかったということになる。
本来は神に対して「約束を守りたいから、望んでね!」というお願いの意味合いが強いのだが、この言葉の特性上、約束をすっぽかした時の免罪符として機能してしまう一面も持つ。

ボクラ(B)

アラビア語で「明日」の意味。
私の住んでいた部屋はマンションの5階にあった。
エレベーターは壊れており、入居当時から使えなかった。
灼熱のエジプトで、毎回の上り下りはたいそう骨が折れる。
管理人に会う度に「エレベーターはいつ直るのか?」と尋ねていたが、いつも答えは「ボクラ、インシャアッラー。」だった。
これは半永久的に直らないと悟ったのは、入居から4ヶ月くらい経った頃だった。

マーレイシュ(M)

アラビア語で「ごめんさない」、或いは「仕方ないね」の意味。
この世の森羅万象は全て神の思し召しなのだから、何が起こっても起こらなくても仕方がない、ごめんねとなる。
事件ならまだしも、簡単な事故や出来事ならばこの言葉ひとつで、大体かたが付く。

IBMを用いた会話例

人物
母親
たまには家に帰って来なさい!明日はどう?
人物
息子
アイワ(分かった)。ボクラ、インシャアッラー(明日、神が望むなら)
人物
母親
インシャアッラー(神が望むなら)

翌日・・・

人物
母親
昨日は何で家に来なかったの?
 
息子
マーレイシュ(ごめんなさい)
人物
母親
マーレイシュ(仕方ないね)
何事もきっちりとした日本人には極めて評判のヨロシクないIBMだが、そこには彼らなりの事情や、生活環境もある。
砂漠地帯という非常に厳しい自然環境の中で生きるアラブ人は、生きていく上で自らの意思ではどうにもならない困難が多々ある。
だからそれを自らの人智の及ばない、強大な神の意志とするより他なかったのだ。
イスラムとはアラビア語で『委(ゆだ)ね』を意味する。
言い換えればイスラムとは『諦めの中に生きる』と言えるだろう。
こうした背景がIBMを生み出したのである。
従って直ちにこのIBMが全て悪だと言うつもりもない。
だが、そうした背景を抜きにして事実だけ捉えるならば、確かに彼らは非常に時間や約束にルーズな民族だ。

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